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狭小から本格的な大型空間まで スペースに合った工房の作り方 – 工房の空間活用学

ちょっとした部屋の片隅や通路でもゴルフクラブの修理・調整はできる。手軽なところから本格工房までスペースを有効利用したクラフトルームの作り方を考えよう。

 

ゴルフ工房を持つにはどれくらいのスペースが必要で、どれくらいの機具・計測器が必要なのかをあらためて整理してみたい。

まず考えなくてはならないのが、工房の用途。試打まで行うにはクラブを振るスペースが必要になる。ドライバーが長尺になったおかげで試打スペースが広くなり天井の高さも必要になった。弾道シミュレートやスウィング分析には広いスペースが必要になる。

一方、ゴルフ練習場の一角でグリップ交換などの作業に限定するなら、それほど広いスペースは要らない。中間的な方法で、練習場に間借りしてフィッティングは打席で行ない、組み立て修理だけ行なうなら狭くてもかなりの作業ができる。

 

狭くても作業効率を考えた配置

 

工房の形態、作業内容によって必要な面積や揃える道具が異なる。一概に作り方や経費は示せないが大きな枠組みは出来そうだ。

工房の要素を挙げるなら、修理・調整、計測、接客応対、そして試打するスペースの4つが挙げられる。この内、計測は修理・調整と似ている。スペックをチェックしながら調整するので一緒にしたほうが便利かもしれないが、電動工具を使って震動させ、ホコリが飛び散ることもある修理・調整と、清浄で安定した環境が望ましい計測は、できるだけ離れていたほうが良い。ゴルフの計測器は意外に精密なものがあるのだ。

ある計器は接客スペースに置いてゴルファーに見せて説明するのに使い、ある計器は微調整に使うので修理・調整に置くというやり方になる。

試打スペースは、工房の要素の中で一番広いスペースを必要とする。長尺ドライバーを振って球を打つ広さが最低でも必要で5m×4m、高さが3mは必要だ。

試打スペースを除けば、他のスペースはそれほど広くなくてもいい。細長いスペースで、グリップを差し込むときに動かないように万力などでクラブを固定できる場所があればいい。

2m×1.5m程度でもグリップ交換などの作業はできる。本当は万力がなくてもできるが確実な仕事のためにはあったほうがいい。

シャフト交換、ロフト・ライ調整もこの程度の広さでできる。シャフト引き抜き器やベンディングマシンが必要になるがスペースはそれほど要らない。

キャスター付きの作業台を使い、必要なときだけ引き出して作業するように工夫して、普段は作業台の棚板の下に収納すると便利だ。

作業台の下と、クラブが届かない頭の上のスペースが、部品、消耗品の収納や、出来上がったクラブを掛けておく貴重なスペースになる。壁、上下のスペースなどを使えば狭い場所でも意外に多くものを置ける。キャスター付きの台を活用すれば、作業に合わせてスペースが使える。狭いスペースでも、工夫次第でいろいろな修理・調整ができるのだ。

ただし、クラブは細長く、ロフト・ライが番手毎に違う角度にヘッドが付いているので、どの方向にシャフトが突き出るかを考えて工具を取り付けておかないと作業しにくい工房になってしまう。作業の要領が分かってから、本格的に取り付けたりするのがいいだろう。

以前は木製クラブの塗装を行なう工房が多く、塗装と乾燥のためのスペースも必要とされていた。

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汚れやすい工房でも清潔感を

シャフトカット、研磨など修理・調整で粉塵が出る工程がいくつかある。その工程と塗装・乾燥とはなるべく離さないと綺麗にクラブが仕上がらない。最近また、金属ヘッドに焼き付け塗装する工房も増えており、塗装スペースは研磨などのスペースから離す(できれば別室)必要がある。

一方、研磨、シャフトカットでは何らかの集塵対策が必要。店が不潔になるし、ゴミを勝手に出すことに対しては年々厳しい目で見られるようになっている。集塵対策を考えた機械も増えているので、できるだけ気を付けて清潔を心掛けたい。

また、レディスゴルファーが増える傾向にあるのでホコリっぽい環境は嫌われる可能性がある。これからは工房も清潔さが求められる時代になるだろう。

これら以外に実際に組み立てるクラブのパーツ(ヘッド、シャフト、グリップ、ソケット類)が必要だが、今の日本ではすぐに配送してもらえるので、それほどたくさんの在庫は必要ない。

工房に必要なものは、広いスペースや豊富な機材ではない。これらを通して、そのことを感じていただきたい。

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